aimee-mehren’s blog

生命倫理を専攻する大学院生のブログ

「子供はいらない」はありですか?

こんにちは、まなです。

 

1月26日のハフィントンポスト日本版に次のような記事が載っていました。

 

「『子供を持たない選択』をした人について、知ってほしい5つのこと」

http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/26/childfree-decision_a_23344135/?utm_hp_ref=jp-lifestyle

 

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少子化問題が危惧される日本社会では、子供をもつことが暗黙のうちに「求められて」います。

そんな日本で、「子供をもたない選択」をすることをどう考えたらよいのでしょうか。

 

ざっくり言うと…

  • ライフスタイルは多様化している←止められない
  • 子供をもつことは強制できない
  • 「もちたいのにもてない人」への支援が先

 

 

記事内容

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まずは、記事の内容を簡単にご紹介しますね。

 

2014年のアメリカの国勢調査では、15〜44歳で子どもを持ったことがなかった女性は47.6%。

メイン大学でジェンダー社会学を研究するエイミー・ブラックストーン教授が、子どもがいない31人を対象に(女性21人、男性10人。2人以外は異性愛者)子どもを持たない選択をした理由を調べた。

 

調査は60〜90分のインタビュー形式で、子どもを持たない選択をするまでのプロセスや周りの人の反応、自分の選択を自分自身はどう思っているかを尋ねたもの。

 

調査結果で明らかになった、「子供を持たない選択」をした理由は主に以下のようなものでした。

 

①周りで出産や子育てを始めた友人を見て

・経済的に苦しんでいる

・親が人生を楽しめていないように見える

・子供が原因で夫婦関係がうまくいかなくなった

・子供が楽しいと思える家庭環境を作ることができていない

 

②社会問題を鑑みて

・増え続ける人口問題を考えて(人口が増えることで起こる環境への悪影響など)

・問題の多い現代社会では、子供を幸せに育てられない

 

③自分のやりたいことをしたい

・大人になった今やりたいことがある

 

子供を持たない選択をする人たちは、子供をもつ人たち以上に「子供をもつとはどういうことなのか」深く考えさせられているといいます。

(社会から求められていることに対して疑問を持ったわけですから、その時点でそれがどういうことなのかよく考えられているのでしょう。また、子供をもつのが当たり前とされる社会では、もたない選択をした場合に、「なぜもたないのか」を常に周りから問われることになるからかもしれません。)

そのためインタビューでは、子供を持つことが当たり前になっている社会で、あまり深く考えずに子供を持ってしまう人々への批判として、次のようなメッセージも語られました。

 

「みんな、子どもを持つという選択についてもっとよく考えたらいいのにと思います。子どもを持つか持たないかは"決めることだ"という考え方が普通になってほしい」

 

ノースウェスタン大学のメディカルスクールで教えるナンシー・モイルター准教授は、この結果をアメリカや全世界の子どもがいない人に当てはめることは不可能だと指摘しながらも、「子どもを産まない選択」というほとんど研究されていない分野について調べた画期的な研究だと評価しています。

 

 

もたない選択をしてもいいか

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少子化という問題を抱える日本では、社会は、「子供をもつこと」を要求してきます。

 

子供をもちたいと望み、育てていけるか考えたうえで子供をもつ選択をする場合は、社会からの要請とも合致しますし問題ないでしょう。

 

子供をもちたいのに、経済的理由でもつことができない場合は、子供を作ることを要請しながらその環境を整えられない社会に問題があるといえます。(もちろん、経済的余裕がないのは自己責任だという考え方はありますが、少子化が深刻化している日本では、そういう人でも子供をもてるように環境を整えることのほうが早く問題を解決できると思います。)

 また、子供をもつのにふさわしい社会だと思えないという理由で、もたないことを選択する人が出てきてしまうことも、社会に責任があるといえるでしょう。

 

では、子供をもつことができる状態にありながら、子供をもたない選択をすることをどう考えたらいいでしょうか。

 

社会的には子供をもつことが求められる一方で、自分の人生を楽しむうえで子供をもちたくない場合。

この時「子供をもつか、もたないか」の選択は、社会を優先するか、自分の人生を優先するか、の問いとみることもできます。社会の一員としての行動を優先するか、社会の中で認められている「個人の自由」を享受するか。

 

社会の一員として、社会の利益となるように行動することは重要なことです。しかし、自分がどう生きるか、その選択の自由を制限することは、社会にもできません。

私たちは、社会の一員としての自分の行為を優先するときもあれば、個人の自由を優先するときもあります。社会のことだけを考えて生活することはできませんし、自分のしたいことだけをしながら生活することもできません。

どういう場面で社会を優先して、どういう場面で個人を優先するのかは人それぞれです。税金を払うとか、選挙に行くとか、社会で生活する上で最低限しなければいけないことをしながら、社会のためになることも自分なりに行なっていく。生き方が多様化する現代では、こうした生き方が広く認められていくと思います。

 

というか日本では

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生き方が多様化する現代社会で、子供をもつことを要請するのなら、子供をもちながらでも好きなことを続けられるような両立可能な社会をできるだけ目指していくしかありません。

もたない選択をする人を説得するより、「もちたいのにもてない」人への支援を喫緊の課題とするべきでしょう。

 

 

私たちにできること

私たちは、子供をもった人を支えること、子供が欲しいのにもてない人を支えることを考えましょう。(ここでいう「支える」は、友人として見守る、といったことでもいいのです。)

 そして、どんな理由であれ、もたないことを選択した人をさげすむべきではないでしょう。よく考えた上での選択なら、子供をもつ選択と同じように、もたない選択も認められるべきです。

 

また次回も

生命倫理に関する記事を上げていきます。

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